はじめに
人事・労務という言葉がありますが、人事と労務の違いをご存知でしょうか?どこか似たようなイメージのある言葉ですが、実ははっきりと違いがあります。例えば、人事戦略という言葉はありますが、労務戦略という言葉は一般的ではありません。なぜでしょう?ここでは、人事と労務の違いについてお話します。
人事は「対組織」、労務は「対個人」
人事は「組織」に関する業務を意味します。例えば、人事戦略、組織制度の策定、研修などがそうです。労務は「個人」に関する業務を意味します。例えば、給与計算、入退職管理、勤怠管理などがそうです。英語で書くと、人事は”human resource management”、労務は”personnel labor management”です。
切り分けられない問題
実際の業務において、人事・労務をあまり分けて考えることはあまりしません。例えば、採用に関して言えば、採用戦略、組織成長戦略、キャリア制度の準備など、人事に関する部分も、給与、職務、配属などの労務に関することも含まれているからです。あまり切り分けることに意味をなさないからです。
コンサルティングにおける人事・労務
経営コンサルティングにおいて、社内のモラール(士気)の調査、給与平等性の調査などを行うことがあります。この時は、個人ベースの情報を集計して、組織の傾向を見定めることになりますので、結局のところ、人事的な要素も労務的な要素も含まれます。「人事コンサルタント」や「労務コンサルタント」という名称は、どちらの比重が高いかという違いがあっても、人事・労務の両方を担当しているという意識が肝心です。社会保険労務士も、今は労務だけではなく、人事的な要素にも踏み込んでいると考えるべきでしょう。
まとめ
人事・労務の言葉の違いは「対組織」なのか「対個人」かという差です。しかし、現実的にこの2つの視点で業務を分類することはあまりません。ドキュメントや細かな言葉の定義が必要な場合にこの差を理解しておくべきでしょう。