はじめに
一部の例外を除けば、就業規則の副業禁止規定は従順になりすぎる必要はありません。先行き不透明な経済の中で、勤務先だけに収入を頼るのは、社会にも会社にも自分にもメリットがないことは明白なことです。ここでは、就業規則に副業禁止と明示されていて、副業をしたくてもできないとお考えのあなたが、ルールを踏み外すことなく正々堂々と副業を行う方法についてお話します。
公務員・公職の場合は副業できません。
本記事は、就業規則の副業禁止規定の意味から対応方法を考えていくためのものですが、どうしても副業を実現できない職業があります。それは公務員と公職です。公務員や公職の場合、職業の性質上、営利目的のビジネスに加担することはできません。いくら時間に余裕があっても、給与が少なくても、公務に公平性を欠いてしまうので、副業はやってはいけません。公務員にも例外はありますが、副業がごく小額であり、業務に支障をきたさないことが前提です。つまり、ボランティアに近い状態になってしまいますので、やはり公務員や公職の場合は、基本的に副業には手を出さないほうが賢明です。
副業で守るべき2つのルール
副業を正々堂々と行うためには、本業に影響がないことを保証する必要があります。以下の2つのルールを遵守してください。
競業避止義務に違反しない
例えば、本業でパン屋さんに勤務していて、副業もパン屋さんをやろうとするのはNGです。これは、副業の利益が本業の利益を圧迫する可能性があるからです。では、副業のパン屋さんを諦めて、定食屋さんでデビューしたらどうでしょうか?これも、場合によってはNGです。つまり、食事の機会という観点で、本業の利益を損なう危険性があるからです。副業は、本業の利益に影響がないことをきちんと保証できるようなビジネスにしてください。
本業の労働に影響しない
勤務時間中に副業を行うことや、副業の疲労によって、本業の労働に影響があるようなことがあってはなりません。また、副業の職種によって、本業のイメージを悪化させるようなものもNGです。
正々堂々と副業する方法
いよいよ本題です。ここからは正々堂々と副業する方法についてお話します。ポイントは、副業していることを会社が受け入れてくれるように環境を整えていくこと
にあります。
個別に副業OKの労働契約を締結する
労働契約法の第8条に「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」とあります。また、労働契約法の第12条に「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。(以下略)」とあります。つまり、会社と合意できれば、副業ができるようにルール変更ができるということです。もちろん、会社の都合で就業規則よりも労働者にとって条件が悪い契約を結ぶことは許されません。つまり、正論で個別に副業OKとなる労働契約を結べるように戦略を緻密にたてることが、正々堂々と副業を行うためのキーポイントとなります。
会社において必要な存在となる
副業を認めてもらえるために、まずは本業に力をいれましょう。会社で意見を堂々といえるポジションに自分をもっていくことが大切です。これは、会社の役職につくという意味ではありません。自分の携わる組織の中で、高い貢献をして、あなたがいなくなると困るという状況を作り出すのです。副業はいつかバレます。バレても周囲から反感を買わないように、まずは盤石な味方づくりを進めましょう。
趣味的なものと思わせる
筆者は、あなたが副業で本業の給与以上に稼ぐことができることを願っていますが、あなたの会社の同僚には「趣味的なもの」と認識して頂いたほうが得策です。そうすると、必要以上に副業について勘ぐられません。「趣味を継続していたら、なんとなくお金になった。」と。ただ、このスタンスもあながち現実と乖離してはいないと思います。
収入増で問い合わせがきたら正直に言う
副業で収入増になると、翌年、前年度収入によって計算される住民税が上がります。住民税は、会社の給与から天引きされますので、人事労務担当者が気づくとすれば、このあたりからでしょう。ただ、実際問題、個々の給与明細まできちんと目を通すことはないでしょうし、よっぽど給与から逸脱する金額を稼げるようにならない限りは、あまり心配することもありません。とはいえ、もし、問い合わせがきた場合は「前年度に、少し大きな副収入があったので、確定申告をしました。」と正直に言いましょう。あとは、人事労務担当者の知識や相性を考えながら、臨機応変に誠実にお話をしていけばよいと思います。
判例を突きつけない
人事労務担当者との話し合いで、「判例で、副業は就業時間外の拘束になるという判断がありますので、副業禁止規定は無効です。」などと主張することはやめましょう。仮に副業が認められたとしても、会社での居心地は悪くなります。それでは本末転倒です。反感を買わずに副業をするためには、法律ではなく情に訴えた方が効果的です。
まとめ
就業規則に副業禁止規定があったとしても、それで諦めてしまう必要はありません。副業は、会社にとっても、違った角度から新たな販路やノウハウをもたらす可能性があるものでもあります。もちろん、本業の勤務時間中に副業を行うことなどの道理の伴わない行為はNGですが、そういったものでなければ取り組む価値は十分にあると思います。