中小企業診断士

中小企業診断士の財務会計で苦しまない方法

はじめに

中小企業診断士試験の財務会計に挫折する方に向けて、中小企業診断士試験の財務会計の攻略法について紹介します。この記事は、会計系の仕事にまったく無縁であり、受験予備校の答練で8点(100点満点中)をたたき出した筆者が、本番1週間くらい前から3日くらい真剣に勉強した結果、60点を突破したときの攻略法です。

教科書・予備校の考え方を捨てる

教科書や予備校の授業を受けていると、財務会計に非常に難しい印象があります。実際、公認会計士試験や日商簿記など、他の教科と違い、いろいろな資格や制度が準備されて大変なイメージがあります。確かに、公認会計士さんや税理士さんに会っても賢そうなイメージがあって、とても財務会計が難しいというイメージを持つことは自然なことです。しかしもし、このイメージに縛られているのであれば、まず真っ先に難しいというイメージを捨て去ってください。あなたは財務会計を攻略できます。理由は財務会計は簡単だからです。中小企業診断士の学習を進めている方であれば、ハロー効果という言葉をご存じだと思います。財務会計はまさにハロー効果です。もし難しくて抵抗感があるようでしたら全部忘れてください。最初から勉強し直しても、実はそれ程時間は必要ありません。もし今、あなたが予備校や教科書の教えを忠実に守って苦しんでいるようでしたら、潔く考え方を捨ててしまったほうがよいです。

経営コンサルタントに必要な財務会計とは?

経営コンサルタントに必要な財務会計は財務諸表を読んで会社の状態を把握することにつきます。この目的に対し、財務会計のカリキュラムが組まれていない学習方法は苦労します。多くの教科書は簿記論から始まりますが、経営コンサルティングの現場で簿記を使うことはめったにありません。このギャップが財務会計の理解に苦しむ理由です。まずは、ゴールである財務諸表から勉強を始めることをお勧めします

学習の順番

「財務諸表」を学ぶ

3つの財務諸表(BS、PL、CF)を学びます。どういう状態がいい会社で、どういう状態が悪い会社なのかといったところから学びます。BSは資産価値、PLは資産の流入出量、CFは資産のうち現金の流入出量を表しています。例えば、BSであれば、資産が借金まみれか、不動産などの高価で売れにくいものが多くないか等を、PLは、資産の流入出を見て、トータルで利益が出ているか、余計なコストがかかって経営が苦しくなっていないか等を、CFは資金ショートが起こる危険がないか等を見ます。試験の上では、売上高経常利益率を求めるなどの計算問題に重きがありますが、意味のわからない計算はやっても仕方ありません。例えば、任天堂とDeNAにどのような違いがあるのか、トヨタ自動車とソニーの売上はどのくらい違うのかなどを見ると面白いです。インターネットから財務諸表をダウンロードしてきて、中小企業診断士の財務会計の教科書の●●率という公式がたくさん並んでいるページを見ながら、あれやこれやと計算してみるといろいろわかってきます。(ちなみに2012年度売上高は、トヨタは18兆円、ソニーは6兆円です。利益が気になる方は是非調べてください。)

財務諸表を探す時間がない方や、サンプルの会社がたくさん欲しいという方は以下の書籍をお勧めします。

本書の後半に16社分の決算書と共に、どんなポイントで決算書を読むのかの実践的な視点が交えて紹介されています。中小企業診断士試験の学習というよりは、経営コンサルタントとして活動するための視点が学べます。経営コンサルタントの見解は会社を動かしますから、将来のためにも一読されることをお勧めします。

「財務諸表まで」を学ぶ

財務諸表がわかるようになったら「財務諸表ができるまで」を学びます。このテーマが簿記論です。財務諸表ができるまでを簡単に解説しますと、財務諸表を作るために毎日行うこと(期中処理)と、ある程度の期間で調整を行うこと(期末処理)の2つの処理があります。この仕組みをつかさどっているのが簿記です。会社ではほとんどの場合、モノ・サービスの対価としてお金が動くことを記帳する複式簿記という考え方で成り立っています。家計簿に代表される単式簿記はお金の出入りが記録されていくのに対して、複式簿記はお金の出入りと共に、資産の出入りも記録されていく違いがあります。なので、それを集計するとどのくらいの資産があるのかという明細をつくることができます。会社を冷蔵庫に例えると、単式簿記はお買い物の家計簿で、複式簿記は家計簿と食材の増減のメモです。食品を食べたり、廃棄してしまうなどの、家計簿では管理できない食材の増減まで管理するのが複式簿記です。複式簿記は仕組みは簡単ですが、勘定科目が多かったり、原価計算、税効果会計などのまどろっこしいルールがてんこ盛りです。(なので、急いで予備校は受験対策を打とうとします。その結果、意味のわからないまま簿記を教え、財務会計失敗組を量産していると筆者は感じています。)コンサル白書では、全体観(取引→期中→期末→財務諸表)を覚えて、それぞれのテーマがどこにでてくるのかを押さえ、学習することをお勧めします。

「財務諸表から」を学ぶ

最後に「財務諸表から先の意識決定」を学びます。財務諸表の数値を加工して、意思決定を行う方法です。管理会計とも呼びます。固変分解、設備投資、予算計画、部門別採算管理など様々ですが、試験のわずかな時間で出る分野は、固変分解、損益分岐点分析、設備投資計画、資産価値の算出くらいだと思います。一番重要なのは限界利益の考え方です。売上-費用=利益ですが、費用は部屋代などの固定料金のかかるものと、材料費などの売り上げに応じて変動するものがあります。費用=固定費+変動費と分け、売上-(固定+変動)=利益として、売上高によって変化するものをまとめます。すると、計算式は、売上-変動=利益+固定となります。この式において、利益がでていないと仮定すると、売上-変動=固定となります。このことから、売上高から変動費を引いたものが固定費を上回っていないと赤字という解釈ができます。そして都度、売上高から変動費を引いたものと言うのは面倒くさいので限界利益という用語を充てたということで理解して頂ければ大丈夫です。ここさえわかれば、あとは数学の問題です。きちんと理詰めできれば、やみくもに公式を覚える必要はありません。

まとめ

中小企業診断士の学習において、財務会計=簿記論+財務諸表+管理会計という認識で大丈夫です。このうち、中心は財務諸表であり、財務諸表の意味がわからなければ、簿記論の意味や管理会計の意義がわかりません。ご存知の方も多いと思いますが、財務諸表は会社の成績表です。成績の読み方がわからないと作る意味も考える術もありません。勉強においても、財務諸表から押さえることからスタートすれば、理解力は格段に向上するはずです。

財務会計は映画と違う。財務諸表というクライマックスから学習する。
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コンサル白書
現役の経営コンサルタント(中小企業診断士)として2010年に独立しました。診断士試験は、独学でE判定から1週間で合格しました。
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