はじめに
スポーツの世界にはユーティリティプレイヤーと呼ばれる選手がいます。ユーティリティプレイヤーのビジネス版がスーパージェネラリストです。ここでは、スーパージェネラリストに求められる役割とその生き方についてお話致します。
万能で専門的であること
スーパージェネラリストは万能かつ専門性があることが常に求められます。旅行会社を例にすると、旅行先のリサーチ、マーケティング、新企画、価格設定、キャンペーン、営業、販売管理、業務の組み立て、アフターケア等の全てを専門性をもってできる存在がスーパージェネラリストです。もちろん、全くビジネスに役立たない分野まで裾野を広げる必要はありませんが、一般的に求められる役割を遥かに凌駕する必要はあります。
求職活動では困る
スーパージェネラリストは時代に非常に強く求められる一方で、求職時には全く募集されません。というのは、募集をかけても要件に達しない方が多く、仮に出会えたとしても組織として持て余してしまうからです。更に、書類や面接といったわずかな機会だけでは、求職者が本当にスーパージェネラリストであるかどうかはわかりません。スーパージェネラリストを見極められる術を持った人事担当者もほとんどいいません。スーパージェネラリストは、時代が求めていても求職時には不遇な一面を持っています。結局のところ、一つの専門性で勝負してから、徐々にテリトリーを増やしていくことがスーパージェネラリストの現実的な求職活動となるでしょう。
経営者視点では必要な存在
求職時は不遇なスーパージェネラリストですが、入社後、万能性を発揮する機会は無数に存在します。直属の上司に恵まれるという条件はつくものの、スーパージェネラリストは全てにおいて能力が高いため、すぐに評価は確固たるものになります。そして、評判が伝播し経営層まで到達すれば、スーパージェネラリストにとっては大変望ましい形と言えます。なぜなら、経営者にとって、スーパージェネラリストは非常に利用しやすい人材だからです。経営は常に不透明下での意思決定です。そして、組織の問題、例えば、配置転換や解雇、人材募集などは特に頭を抱えます。そんな中、どんな分野でも通用する人材が手勢にいれば、どれだけありがたいことかは、想像に難くないところです。組織の柔軟性を担うキーパーソンがスーパージェネラリストです。
時代を変革させるために
スーパージェネラリストには、他の一般スタッフや専門職とは違った大きな特長があります。それは「他の人には見えないものが見えてくる」ということです。物事を俯瞰的にとらえつつ、更に細部に至るまで見通していくと、全体最適で物事を処理できます。スーパージェネラリストは、他者には見えない視点、発想を生み出せる貴重な存在です。スーパージェネラリストはその役割から得た知見で時代を動かすためのリーダーになっていくべき存在でもあります。
知性を磨く
「スーパージェネラリスト」という言葉を最も普及させていると思われる著作は「知性を磨く」です。また、組織間をまたぐスーパージェネラリストを「アグリケーター」と呼ぶ事もあります。代表的な書籍を以下に紹介させて頂きます。
まとめ
スーパージェネラリストは、万能かつ専門性があることが常に求められます。そして、現代の日本社会にはまだ浸透していない存在でもあります。そのため、認められるまでは不遇ですが、俯瞰的な視野で時代を変えていくことができる貴重な存在です。