転職

I字型、T字型、Π字型人間

はじめに

「幅広い視野と特化した専門性」を持った人材を求める企業が多くなりました。その中でも、「T字型人間」という言葉はよく耳にします。「T字」の横棒が幅広さ、縦棒が専門性を意味します。そして昨今は、専門性を2つ以上持つ「Π字型(ぱいじがた)」という言葉も出て参りました。ちなみに、専門分野に特化した人間をI字型とも呼びます。ここでは、コンサルタントのキャリアについて、I字型、T字型、Π字型という観点からお話していきます。

大手向けは専門性、中小向けは万能性が基本

お話の前提として、コンサルティング会社の特性の違いについて説明します。一般的に、大手企業に対するコンサルティングは専門性を要し、中小企業に対するコンサルティングは万能性を要することが基本です。これは、大手企業であればコンサルフィーが複数名払えるのに対し、中小企業は1名分払えるか払えないかという懐事情にも起因しています。なので、大手企業を対象にサービスを行うコンサルティング会社は、特定の業界や業務分野、システムに詳しいという特徴を持ちます。一方、中小企業を対象にサービスを行うコンサルティング会社は、経営全般に精通していることは前提として、税務、IT、生産等の分野で差別化を図ることが特徴です。

大手コンサル会社は「I字型人間」を育てる

大手のコンサルティング会社は、チームでのコンサルティングが基本のため、ITならITに、会計なら会計に特化した人材を育成する場合が一般的です。勿論、万能性が必要な経営戦略に携わるコンサルタントも一部おりますが、割合としてはそれほど多くありません。一部統計では70%くらいのコンサルタントがSE的な業務を行っているといった指標もあります。実際、経営戦略系のコンサルタントと入社時に入り口をわけ、特定の分野のエキスパートを育てる会社もあります。IT等の専門分野をバックボーンに、経営系の部署への転属を図る方もいますが、非常に稀なケースであることは確かです。

大手コンサル会社における「T字型人間」

大手コンサルティング会社でいう「T字型人間」とは、横棒が経営全般、縦棒がIT、会計、物流等の専門分野になります。このようなタイプの人間は、社内でも昇進していきます。レベルの高い方は、専門分野を2つ以上持ち「Π字型人間」となります。例えば、経営に明るく、節税によるキャッシュアウトが得意で、ITの導入プロジェクトも牽引できるといった人間です。ここまで来ると非常に会社からは重宝されますが、他のコンサルタントとの差別化が進みすぎて、逆に「この人しかこの仕事はできない。」という不可抗力が生じ、思わない方向へのキャリアになってしまうケースもあります。キャリア形成の側面からは注意したいポイントです。

中小企業向けコンサルタントは「全部型人間」

筆者は、大手コンサルティング会社を退職し、独立して新規でクライアントを開拓してきました。語弊を恐れずに書くのあれば、中小企業向けのコンサルタントは「I字、T字、Π字」等では表現できない「全部型人間」でなければなりません。中小企業向けのコンサルタントは全部詳しくないといけないです。例えば、創業支援、節税対策、法的手続き、IT化推進、社内制度改革、販売戦略、コスト削減等々、これらの相談を全部受けます。創業支援だけとっても、株式会社、特殊法人、個人事業のメリット・デメリット、申請方法、事業計画、協力者あっせん等多岐に渡ります。中小企業診断士の学習程度ではとても対応はできません。

まとめ

大手コンサルティング会社の経営戦略系では「少ない情報を拾い集め、推論を行い、事業の方向性を導き出していくこと」が主な仕事で、専門分野系では「特殊な業務特性を理解・利用し、企業に有利な対策を施すこと」が主な仕事です。一方、中小企業向けのコンサルタントは「全ての物事に適切に対応できること」が主な仕事です。「I字、T字、Π字、全部」のうち、自分はどのようなコンサルタントとしてキャリアを形成していきたいか、よく考慮して道を選択することが重要です。

個人と団体で持つべき能力は異なる。
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コンサル白書
現役の経営コンサルタント(中小企業診断士)として2010年に独立しました。診断士試験は、独学でE判定から1週間で合格しました。
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