- 経営理念は思い(心)
- 経営ビジョンは望み(目)
- 経営戦略は進み方(脳)
経営理念
経営理念は「思い」に相当するものです。自分の会社はどのような会社であるかを定めたものです。例えば、「常に考える」会社、「どこよりもデータに強い」会社、「いつでも万国の雰囲気を提供できる」会社などです。経営理念は、経営者のこういう会社にしたいという思いが反映されます。
経営ビジョン
経営ビジョンは「思い」を実現するためにどのような「青写真」を描いているかを定めたものです。例えば、「いつでも万国の雰囲気を提供できる」という思いに対して、「どこよりも多国籍のビュッフェレストランにする」「どこよりもたくさんの外国語を学べる語学学校にする」「どの言語でもアクセスできるバーチャル空間を提供する」などいくつもビジョンが描けます。また、経営理念と経営ビジョンは行ったり来たりしながら、ブラッシュアップされていくものです。時代の変化、企業の成長、経営者の思考などが変動の要素となります。例えば、「どこよりも多国籍のビュッフェレストランにする」という経営ビジョンはそっくりそのまま経営理念として掲げられていてもいいわけです。ビュッフェレストランとして成功したのち、他業種展開をしていく際に経営理念を改めるということもあります。
経営目標
経営目標は「青写真」を実現するための「マイルストーン」のようなものです。例えば、「5年後に市で一番有名なビュッフェになる」「日本で一番品数の多いビュッフェレストランをつくる」などです。経営目標は何か客観的な経営指標を作らなければ評価が難しいものです。
経営戦略
経営戦略は「青写真」や「マイルストーン」を実現するための「進め方」です。例えば、「どこよりも多国籍のビュッフェレストラン」を実現するために、どのような人を雇用し、どこのマーケットを狙い、何を提供するかなどを決めていくわけです。また、企業が大きくなると全体戦略を経営戦略、個別部門の戦略を事業戦略として取り扱います。ただし、決して「経営戦略>事業戦略」ではありません。いい事業がなければ経営は成り立ちません。経営戦略にはバランスが重要です。
経営方針
経営方針は経営を進めていく上での「ポリシー」です。「無借金経営」「グローバル採用」「有機野菜のみ使用」などです。どのようなポリシーを持つかは、実践を通じての教訓によるところが大きく、ある種、経営者の金言に近いものです。
コンセプト
試験ではまったく出てこない用語として「コンセプト」という言葉があります。この言葉は現場では使います。つまり「あなたの経営をわかりやすい短い言葉で教えてください。」ということなのですが、これがすっと出てくる経営者はしっかりと思考を巡らせていらっしゃることがわかります。
まとめ
コンサルタントとしては、経営理念、経営ビジョン、経営目標などの言葉は理解しておく必要があります。一方で、現場ではこれらの言葉の差よりも、これらをぎゅっと凝縮したコンセプトというワードのほうが役に立ちます。考えを整理するとき、インタビューをするときなど、用途に応じて使い分けて頂ければと思います。