はじめに
マネジメントサイクルにはPDSの他、PDCA、PPDACなどがあります。ただし、使いどころを間違うと経営はどんどんとあさっての方向に転がっていきます。ここではマネジメントサイクルの基本と実践での注意についてお話します。
PDSサイクル
PDSサイクルとは、Plan(計画)、Do(命令)、See(統制)のサイクルです。余談ですが、株式会社Plan・Do・Seeという素敵な会社もございます。PDSサイクルは経営者視点の理論です。PDSのDoは、Do(実行)ではなく、Do!(命令)であることも着目して頂ければと思います。
PDCAサイクル
PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(確認)、Action(修正)のサイクルです。厳密にはPDCAサイクルは品質管理のサイクルです。日本では一般的に最も普及したサイクルです。
PPDACサイクル
PPDACは、Problem(問題発見)、Plan(分析計画)、Data(データ収集)、Analysis(データ分析)、Conclusion & Improve(結論と施策の提言)、Control & Check(施策の管理と効果の評価)というサイクルです。PPDACICCサイクルというツッコミは不要です。コンピュータの発展によりビッグデータを経営に活かすことができるようになりました。尚、PPDACサイクルはナイチンゲールが実践したものです。
マネジメントサイクルの使いどころ
試験としてはPDSサイクルとPDCAサイクルを抑えればよいのですが、コンサルタントとして現場に立つ際にはマネジメントサイクルで本当に効果がでるのかは見極めなければなりません。そもそもマネジメントサイクルを持つことは非常に面倒なのです。マネジメントサイクルをわざわざ回さずに、ビジョンに向かって組織が自己成長をしていく姿が経営者にとっては望ましい姿です。コンサルタントとして、マネジメントサイクルを扱う際は、ビジョンの共有の度合いや従業員の意識、知識、行動力を総合して勘案することをお勧めします。
改善はできるが革命は起きない
マネジメントサイクルで重要なことは、改善は起きるが革命は起きないということです。つまり、計画前提で制御していくサイクルである以上、新しいものへのジャンプはできないということです。例えば、牛丼チェーンのオペレーションのように完成されたサービスや製品の品質を管理することを目的に、PDCAサイクルを導入することはありです。一方、新商品開発などの業務ではそもそもPlanを立てることにあまり意味がありません。このような業務は、むしろDoDoDoくらいのスピード感で開発しなければ競争に負けてしまいます。革命をもう少しビジネスよりの言葉でいえばイノベーションです。イノベーション系の業務のマネジメントはよく考える必要があります。
人にあてはめ過ぎない
電車の指差し確認、ISMSの情報漏洩対策など、サービスの担保のためのマネジメントサイクルはありですが、教育や営業評価などにマネジメントサイクルを当てはめることはやや危険です。つまり、遺伝や適正、相性、環境、強制的な人事など、個人の努力ではどうにもならないものがあるのにもかかわらず、マネジメントサイクルを回してCheckすることは心理的な負担が大きいからです。そして、成果の上がらない真面目な人ほど、うつにしてしまいます。目標管理シートにも注意が必要です。
まとめ
マネジメントサイクルには、PDCAサイクル以外にも種類があります。しかし、基本的には品質管理手法であるので、イノベーション系の業務や人への適応には注意も必要です。望ましいことは、定期チェックがなくとも自己成長できる組織です。