はじめに
組織の能力を向上させようと「目標管理シート」を導入しようとする企業があります。また、組織系コンサルティングの中で、提案するコンサルタントもいます。考えは人それぞれですが、筆者は断固反対です。ここでは、目標管理シートが全く役に立たない3つの理由について、お話します。
机の引き出しの裏でグシャグシャになる
目標管理シートは、上司や人事部から書くように指示があって、面倒臭いと思いながらも取りあえずそれっぽいものを書いて提出する人が圧倒的多数だと思います。書いている瞬間に「今年は、一体何をしよう。」と考えることには一定の効果があります。しかし、書いた3日後には何を書いたか忘れ、3ヶ月後には存在を忘れるのが目標管理シートです。きちんと見直して、「こんな目標立てたな、よし頑張ろう!」と思える人には目標管理シートは不要です。半期に一度の確認の時に、机の引き出しの裏にグシャグシャになった目標管理シートを見つけ、こんな高い目標書いていたんだと驚き、もう一度プリントアウトし、程よい加減の達成実績を書き、提出してホッとして全てを忘れるというのが、目標管理シートの現状だと思います。
目標管理シートの情報が古くなる
目標管理シートの確認は、四半期、半期、1年のどれかだと思います。ただ、四半期、つまり3ヶ月間もなに一つ変わらないビジネスはないはずです。なので、目標管理シートに書いた目標が今日のビジネスにはプラスの材料にならないことなんてよくある話です。結局のところ、ビジネスのサイクルが短いこの時代に、3ヶ月以上のサイクルで回転させる目標管理シートは全く役に立ちません。もちろん、熟練工のように何年もかけて、一人前の仕事ができるような仕事もあるでしょう。しかし、その場合は、目標達成の道筋がノウハウとしてあるはずです。であるならば、目標管理シートなどは辞め、双六のようなシートのうえに、自分がどこまで到達しているか書いたほうがよっぽどいいわけです。いずれにしても、目標管理シートは確認するときにはすでに情報が古くなっています。
上司が管理しきれない
目標管理シートは、その達成度を人事評価のポテンシャル評価に役立てようとする動きもあります。しかし、できる人は高い目標を立て、できない人は低い目標を立てます。高い目標のほうが達成が難しいでしょうし、低い目標でしたら達成は簡単でしょうから、評価があべこべになることがあります。そして、上司はだれがTOEIC何点とるという目標を持っているなど、知っていても無駄です。それよりも、部下がどういう思いで働いていて、どういうキャリアを望んでいるのかを知っている方が的確です。それこそが本当の目標管理ではないかと思います。
まとめ
本記事は安易に目標管理シートを導入して、従業員の負担を増大される人に警鐘を鳴らすために書きました。目標管理シートのような難しいものを作らなくても、掲示板のようなみんなが目を通す場所に、「私は〜をします。私は〜になります。」と宣言して頂き、みんなでプレッシャーをかけあったほうがよっぽど効果的です。そこまでしなくても、組織は不完全でも回るものです。手法にこだわらないほうがいいと筆者は思います。